高次脳機能障害の慰謝料を増額させるには?

高次脳機能障害の慰謝料請求でお困りの方へ。

相手方に慰謝料の請求をしたくても、そもそも請求できるのか、どの程度請求出来るのかなど、よくわからないことだらけですよね。

このページでは、高次脳機能障害でお困りの方へ、慰謝料増額のポイント等についてご紹介します。

高次脳機能障害の慰謝料などの補償を受けるためのノウハウ

高次脳機能障害になってしまった場合、慰謝料の支払いを受けるためにはどうすればよいのでしょうか。

ポイントは2つあります。入通院の記録をしっかりつけておくことと、適切な後遺障害等級の認定を受けることです。

でも、それらがどのように慰謝料に繋がるのですか?詳しく教えてください。

適正な慰謝料の補償を受けるポイント

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適正な慰謝料の補償を受けるためには、治療期間中に適切な頻度で通院を行うことと、適正な後遺障害等級認定を受けることが重要です。

実務上、慰謝料の金額は、「赤い本」と呼ばれる法律誌に従い算定されることが多いです。

そして、「赤い本」では、慰謝料は入通院慰謝料と後遺障害慰謝料に分かれ、それぞれ入通院の日数後遺障害等級の等級により計算されることとなっています。

具体的な事情により額が上下することもありますが、基本的な相場が入通院の期間や後遺障害等級で決定されるため、適切な頻度で通院を行い、適正な後遺障害等級の認定を受けることが重要となります。

脳に異常がなくても診断がある場合

MRI画像やCT画像によっても脳に異常がない場合、医師から高次脳機能障害の診断を受けていても、後遺障害等級の認定はなされないことが多いです。

後遺障害等級の認定がない場合、その等級により相場が決まる後遺障害慰謝料を獲得することは、等級がある場合に比べて困難であると言わざるを得ないでしょう。

しかし、等級がなくても、裁判を起こして裁判所に高次脳機能障害の存在を認めてもらえれば、後遺障害の慰謝料を獲得できます。

裁判所は、慰謝料の判断において、自賠責保険の後遺障害等級の認定に拘束される訳ではないからです。

適切な後遺障害の申請方法

後遺障害等級の申請方法は、その申請先により異なります

交通事故により高次脳機能障害になってしまった場合、後遺障害等級認定の申請は、自賠責保険会社に対して行うことになります。

自賠責保険会社に請求する方法には2種類あり、被害者自身が請求する被害者請求と、加害者側の保険会社に後遺障害等級認定の申請を依頼する事前認定があります。

仕事中や通勤中に高次脳機能障害になってしまった場合には、労働基準監督署に対して障害補償給付の申請を行うことになります。

この場合、自賠責の場合と異なり、事前認定のような方法はなく、被害者自身が申請することになります。

高次脳機能障害の逸失利益とは?

そもそも、逸失利益とは、後遺障害が残ってしまったことにより、将来得られるはずだったが得られなくなった利益をいいます。

具体的には、後遺障害で働けなくなったことによる将来的な年収の減少分が逸失利益にあたります。

高次脳機能障害では、記憶障害等により、それまでの勤務先で職務ができなくなったり、転職せざるを得なくなったりして収入が減った場合等の差額が逸失利益になります。

(まとめ)

適正な慰謝料の補償を受けるポイント 入通院の記録と適切な後遺障害等級の認定
脳に異常がなくても診断がある場合 後遺障害等級の認定は難しいが、裁判で裁判所に認定させることは可能
適切な後遺障害の申請方法 交通事故は自賠責保険会社に申請(被害者請求と事前認定)
仕事中や通勤中の事故については、労基署に申請
高次脳機能障害の逸失利益とは 高次脳機能障害により、将来的に収入が減額する場合の差額分

判例からわかる!高次脳機能障害の慰謝料相場は?

高次脳機能障害になってしまった場合、慰謝料はどれくらいもらえるのですか?

具体的な事情にもよりますが、だいたい1000万円から2000万円程度でしょう。

かなりの金額ですね。ただ、高次脳機能障害の苦しみからしたら当然でしょうね。

高次脳機能障害で受け取れる慰謝料の相場なんて、弁護士や保険会社に勤務している方以外分からなくて当然です。

しかし、その相場を知っておけば、その獲得のためにどれだけの費用をかけられるかなど、活動の指針の1つになります。

以下では、慰謝料や逸失利益の相場や計算方法について、解説していきます。

高次脳機能障害の慰謝料の相場は?

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以下は、高次脳機能障害が争われた裁判例です。

判例年月日 後遺障害の内容 後遺障害の等級 後遺障害慰謝料
名古屋地判
平成26.1.9
高次脳機能障害
(遂行機能障害等)
併合4級 1670万円
東京地判
平成26.1.14
高次脳機能障害(記憶障害) 3級 1990万円
東京地判
平成26.1.28
高次脳機能障害
(記憶障害等)
併合6級 1180万円
神戸地判
平成26.9.24
高次脳機能障害(注意障害等) 併合4級 1670万円
東京地判
平成27.1.30
高次脳機能障害(記憶力低下等) 併合6級 1450万円

この表から分かる通り、裁判において高次脳機能障害が認められた場合の慰謝料の相場は、おおよそ1000万円~2000万円と言っていいでしょう。

もっとも、表の中の「併合○○級」とある裁判例においては、高次脳機能障害以外の後遺障害も認められているケースですので、慰謝料の金額に他の後遺障害の影響もあることには注意が必要です。

年齢や職業によって慰謝料の金額は変わるの?

慰謝料の相場を示した法律誌である「赤い本」では、慰謝料の金額は入通院の日数や後遺障害等級により決定され、年齢や職業は考慮されていません。

しかし、裁判所は、「赤い本」記載の金額をそのまま認めないことも多いです。

たとえば、10代など若い時期に高次脳機能障害になってしまった場合や、特に記憶力が重要な職業に従事していた人が、記憶障害になってしまった場合等には、より高額な慰謝料が認められることもあり得るでしょう。

高次脳機能障害の逸失利益の金額は?

逸失利益の金額は、年収×喪失率×喪失期間の係数で算定されます。

喪失率とは、後遺障害によりどれだけの収入が得られなくなったかの割合をいい、実務上は後遺障害等級により判断されることが多いです。

喪失期間とは、逸失利益が生じる期間をいい、裁判上では67歳まで収入が得られるものとして計算をします。

そして、喪失期間の係数とは、将来受け取れるはずの利益を現在受け取ることから、その価値を現在化するための数字をいいます(ライプニッツ係数と言います)。

例えば、高次脳機能障害で後遺障害等級7級に認定された当時40歳で、年収が700万円であった場合、逸失利益は

700万(年収)×0.56(7級の場合の喪失率)×14.643(就労期間27年のライプニッツ係数)=5740万円

となります。

高次脳機能障害の慰謝料を増額するための弁護士相談の活用法

高次脳機能障害の慰謝料を増額するためには、どのように弁護士に相談をすればいいですか?

とりあえず、後遺障害の申請をする前に相談することをおすすめします。弁護士のアドバイスにより、より高い等級が認定される可能性が高まります。

確かに早めに相談しておけば安心ですね。

高次脳機能障害について相手方にお金を請求しようとした場合、弁護士の相談をどうやって活用すればいいのか分からないと感じる方はとても多いようです。

以下では、弁護士相談の活用方法について、解説していきます。

弁護士に相談することで慰謝料や逸失利益は増額するの?

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弁護士に相談することで、慰謝料や逸失利益が増額することがあります。

実務上、慰謝料や逸失利益の計算は、後遺障害等級によりおおよその相場が決まっています。そのため、より高い後遺障害等級の認定を受けることが、慰謝料や逸失利益の増額に繋がります。

そして、後遺障害等級認定の申請の前に弁護士に相談をすれば、弁護士から申請のポイントや注意点を聞くことができるので、より高い後遺障害等級が認定される可能性が高まります。

したがって、後遺障害等級認定の申請前に弁護士に相談することが、慰謝料や逸失利益の増額にとって重要なのです。

年齢や職業によって慰謝料の金額は変わるの?

慰謝料の相場について定めた「赤い本」では、年齢や職業は慰謝料の増減事由にはなっていませんが、裁判所は独自に裁判で慰謝料を相場から増減させることがあります。

裁判で慰謝料を相場から増減してもらうには、裁判で必要十分な主張をする必要があります。しかし、いきなり裁判で主張をしろと言われても、できるものではありません。

弁護士に相談をすれば、裁判での適切な主張方法を聞くことができますし、弁護活動を依頼すれば弁護士が被害者に代わって具体的な主張をすることができます。

(まとめ)

弁護士に相談することによる慰謝料等の増減の可否 弁護士に相談し、より高い後遺障害等級の認定がなされれば、総額する可能性が高い
年齢や職業による増減の有無 弁護士に相談し、裁判で具体的な主張をすることで、相場よりも高い金額が認められ得る
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