高次脳機能障害の後遺障害等級とは?
交通事故や労災事故で頭を強く打ち、記憶障害や人格障害が出てしまった場合、仕事や日常生活に大きな支障が出てしまいます。
事故前の状態にもどるのがむずかしくても、せめて適正な補償を受けたいと思うのが被害者やご家族の心情かと思います。
高次脳機能障害の被害者が適正な補償を受けるためには、症状に見合った後遺障害等級を認定してもらう必要があります。
高次脳機能障害の後遺障害に関する基本知識や等級認定のポイントについて、おさらいしておきましょう。
高次脳機能障害の後遺障害のメカニズム
メカニズムはどのようなものですか?
高次脳機能障害の後遺障害が残るメカニズムは?
人間の脳は、高性能なコンピューターでも実現できないほど多くの複雑な機能を持ち、膨大な情報の処理や感情の制御を行っています。
そのため、脳は固い頭蓋骨で覆われており、外部からの衝撃では傷つきにくい構造となっています。
しかし、交通事故などで頭に強い衝撃を受けると、脳挫傷やくも膜下出血など内部の脳組織に損傷が生じてしまうことがあります。
これにより、脳の各種機能が一部停止してしまうことで、記憶障害や人格障害などの症状を伴う高次脳機能障害が発症してしまいます。
高次脳機能障害の具体的な症状にはどんなものがあるの?
高次脳機能障害の具体的な症状としては、新しいことが覚えられなくなる記憶障害や、うっかりミスが多くなる注意障害などがあります。
さらに、仕事や日常生活を送るうえでの段取りができなくなる遂行機能障害、対人関係をうまく運ぶことができなくなる対人能力障害、感情の起伏が激しくなる人格障害なども比較的多くみられます。
症状の種類 | 概要 | 比率 |
---|---|---|
記憶障害 | 新たなことを覚えられない | 90% |
注意障害 | ミスが多くなる | 82% |
遂行機能障害 | 段どりができなくなる | 75% |
対人能力障害 | 他者とのコミュニケーションに支障がでる | 55% |
人格障害 | 感情の起伏が激しくなる | 44% |
等級認定を受けるためにはどれくらいの治療期間が必要になるの?
高次脳機能障害で後遺障害の認定を受けるにあたっては、ある程度の治療期間を確保する必要があります。
なぜなら、後遺障害は生涯にわたって残るものであるため、ある程度の長期間の治療を経たうえでそれでも症状が改善しないという条件が必要になるためです。
高次脳機能障害のケースでは、約1年~1年半程度の治療期間を経たうえで症状固定に至るケースが多いようです。
高次脳機能障害の等級認定までの流れは?
・適切な等級認定を受けたいけど、どのような流れで認定されるのかわからない
・後遺障害の申請方法がわからない
このようなお悩みのご相談を受けることが多いです。最終的に後遺障害の等級認定を受けるまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。
① 症状固定(リハビリ終了)
まず、高次脳機能障害の等級認定を受けるためには、治療やリハビリが終了し、症状固定に至る必要があります。
② 後遺障害診断書の作成
そのうえで、主治医から高次脳機能障害の後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。診断書のほかにも、作成が必要な書式がいくつかあります。
③ 後遺障害の申請
必要書類の準備ができた段階で後遺障害の申請手続を行います。申請の方法は、交通事故か労災事故かによって異なります。ケースによっては、申請の段階から弁護士などの専門家のサポートを受けるのが有効です。
④ 追加調査への対応
自賠責調査事務所や労基署から、後遺障害の審査手続きにおいて追加調査の要請を受けることがあります。
審査機関の指示にしたがって適切に対応することが必要となります。
⑤ 等級認定の結果の通知
後遺障害の審査が終了した段階で、認定結果の通知を受けることができます。書面で通知される場合と、口頭で通知される場合があります。
高次脳機能障害の等級認定の仕組み
高次脳機能障害は何級に認定されるの?
ひとくちに高次脳機能障害といっても、症状の程度によって等級にも幅があります。
脳損傷が広範囲にわたって症状が非常に重く、他人による介護が必要な場合には、要介護の程度に応じて1級または2級の等級認定がなされます。
要介護状態にまでは至らない場合には、3級、5級、7級、9級、12級などの等級認定が考えられます。
高次脳機能障害で等級が認定されないこともあるの?
主治医から「高次脳機能障害」との診断を受けていても、後遺障害の等級認定を受けられないこともあります。
とくに、事故後に脳挫傷などの診断を受けておらず、MRI画像でも脳に異常が見当たらないが、記憶障害などが生じているケースでは、そもそも「高次脳機能障害」と認めてもらえないこともあるのです。
ただし、このようなケースでも、事故後の意識障害の有無や、事故前後の脳萎縮の程度などを調べることにより、等級認定を受けられることもあります。
高次脳機能障害の症状と等級認定の関係は?
高次脳機能障害の等級認定の指標として、以下の4つの能力が重要となります。
①意思疎通能力
②問題解決能力
③作業負荷の持続力
④社会行動能力
能力の判定については細かい基準がありますが、それぞれの能力喪失の程度について6段階で評価されています。
たとえば、意思疎通能力を全部喪失し、問題解決能力と社会行動能力をいずれも大部分喪失している場合には、3級の後遺障害が認定されることになります。
できる限り、後遺障害の申請前に弁護士に相談した上で、ご自身がどの等級に当たる可能性があるのかを把握しておくことが大切です。
等級 | 4つの能力の喪失の程度 | |
---|---|---|
1つ以上の能力 | 2つ以上の能力 | |
3級 | 全部喪失 | 大部分喪失 |
5級 | 大部分喪失 | 半分程度喪失 |
7級 | 半分程度喪失 | 相当程度喪失 |
9級 | 相当程度喪失 | - |
12級 | 多少喪失 | - |
高次脳機能障害の等級認定における弁護士相談のメリット
後遺障害等級を認定してもらえる機関はどこ?
高次脳機能障害の後遺症が残る原因は様々です。
脳出血などの病気によるもの、交通事故などの外傷性脳損傷によるものなどがあります。
これらのうち、後遺障害等級を認定してもらえるのは、交通事故や労災事故が原因となる脳外傷により高次脳機能障害となったケースです。
交通事故のケースでは、「損害保険料率算出機構」という第三者機関の高次脳機能障害専門部会で審査が行われます。
一方、労災事故の場合には、所轄の労働基準監督署に対し「障害補償給付」の支給申請を行い、労災の手続のなかで後遺障害等級の審査が行われます。
後遺障害の申請における必要資料
高次脳機能障害は、目には見えない精神症状の程度によって等級を認定する必要があるため、後遺障害の申請にあたっては、ほかの障害に比べて多くの必要資料の提出が要求されます。
基本資料である後遺障害診断書だけでなく、以下の表でまとめた資料の作成が必要となります。
資料の作成主体は、主治医または同居の家族にはなりますが、後遺障害の申請に直接影響を与える書類であるため、記載内容や作成方法について後遺障害の認定実務に詳しい弁護士のアドバイスを受けておくことが大切です。
資料の目的 | 作成主体 | |
---|---|---|
後遺障害診断書 | 症状固定時の後遺障害を証明する | 主治医 |
頭部外傷後の意識障害についての所見 | 事故後の意識障害の有無や程度を把握する | 主治医 |
神経系統の障害に関する医学的意見 | 症状の程度を詳細に確認する | 主治医 |
日常生活状況報告 | 日常生活の状況から症状を把握する | 同居の家族 |
後遺障害等級について弁護士に相談するメリット
高次脳機能障害は、その等級認定の評価が難しい一方で、被害者本人にとっては重大な不利益のある後遺障害であるため、後遺障害の申請にあたっては慎重な対応が必要となります。
主治医が高次脳機能障害の診断をしていても、画像所見などの証拠が不足していると後遺障害として認定してもらえないケースも多数生じています。
さらに、高次脳機能障害と認定された場合であっても、提出書類の記載内容によっては等級の評価が不適切になってしまうことも考えられます。
申請段階から専門の弁護士に相談しておくことで、適正な等級認定を受けられるケースが多いです。
等級が一段階アップするだけで、慰謝料や逸失利益などの金額は大幅に増額することになります。
高次脳機能障害の被害者にとっては、今後の生活補償が極めて重要になりますので、早いタイミングで弁護士へ相談するようにしましょう。
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