高次脳機能障害の労働能力喪失率とは?

高次脳機能障害になってしまうと、コミュニケーション能力や事務処理能力に支障が出て以前のように働けなくなったと感じられる方が多いようです。

このことは、法律用語である「労働能力喪失率」と深いかかわりがあります。

以下では、高次脳機能障害の賠償金と関係が深い労働能力喪失率について、簡単に紹介していきます。

高次脳機能障害における労働能力喪失率とは?

高次脳機能障害になった場合の労働能力喪失率って、なんのことですか?

高次脳機能障害の症状により、働くことができなくなった場合に、その働けない程度をパーセントで示したものです。

そんなものもパーセントで表せるんですね。

労働能力喪失率の意味

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労働能力喪失率とは、後遺障害により働くことができなくなった程度を、パーセンテージにより表したものです。

労働能力喪失率は、その後遺障害の内容や職業等により左右されます。

たとえば、高次脳機能障害により記憶障害が残ってしまった場合、単純な事務作業に従事している場合よりも、記憶力をより必要とする知的作業に従事している方のほうが、実際の労働能力喪失率は高くなる傾向があります。

逸失利益と労働能力喪失率との関係

逸失利益とは、後遺障害により、将来得られなくなった利益をいいます。要するに、将来の収入の減少分のことを指します。

逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式により算出されます。そのため、労働能力喪失率が高ければ高いほど、逸失利益の金額は高くなります。

労働能力喪失率と慰謝料の関係

慰謝料とは、事件や事故による被害者の、苦しみや悲しみといった精神的損害に対する賠償金をいいます。

これに対し、労働能力喪失率は、逸失利益の計算をする場合の要素にすぎないため、慰謝料との直接的な関係はありません。

もっとも、労働能力喪失率が高い場合、すなわち働けない程度が高い場合には、一般的に苦しみや悲しみも大きくなるため、慰謝料が高額になる傾向があります。

労働能力喪失率と示談金の関係

示談金とは、当事者間において、裁判にしないことを条件にお金を支払うことを合意した場合の、加害者から被害者に支払われるお金をいいます。

示談金は、仮に裁判になった場合に支払うことになる金額を前提に決定されます。労働能力喪失率は、裁判になった場合に認められる逸失利益の計算に大きな影響を及ぼします。

労働能力喪失率が大きければ大きいほど、逸失利益の金額も大きくなるため、示談金も高額になる傾向があります。

(まとめ)

労働能力喪失率の意味 後遺障害により働くことができなくなった程度を、パーセンテージにより表したもの
逸失利益と労働能力喪失率との関係 逸失利益は、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式により算出される。
労働能力喪失率と慰謝料の関係 直接的な関係はないが、労働能力喪失率が高いような重大な被害の場合は、医者用も高くなる傾向がある
労働能力喪失率と示談金の関係 労働能力喪失率が高いほど、逸失利益が高くなるため、示談金も高くなる傾向

高次脳機能障害の労働能力喪失率の決まり方

高次脳機能障害の労働能力喪失率は、どのように決定されるんですか?

認定された後遺障害等級により、一定の相場があるため、それに従うことが多いです。

そう考えると、後遺障害等級って大事ですね。

労働能力喪失率の決まり方

労働能力喪失率の判断は、その症状の内容からその症状が労働に及ぼす程度、労働の内容等、様々な事情を考慮して決定される、極めて難しい概念です。

そのため、実務では、裁判の前に認定される後遺障害等級により、労働能力喪失率の一定の相場があります。たとえば、1級から3級の場合には100%、9級の場合には35%、12級の場合には14%の喪失率が相場です。

もっとも、具体的な事情によっては、この相場から数値が前後することも多くあります。

また、後遺障害等級が認定されない場合には、裁判所が1から労働能力喪失率を判断せざるを得なくなります。

高次脳機能障害により労働が制限される理由

高次脳機能障害になってしまった場合、様々な症状が生じます。代表的な症状は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等がありますが、その程度も様々です。

そのため、高次脳機能障害により労働が制限される理由も様々なものが挙げられます。

裁判例では、記憶力の低下により業務に支障がでたり、感情が抑えられないことで、職場での人間関係の構築が困難であったりすることを理由に労働能力の喪失を認めています。

日常生活への支障は労働能力喪失率に影響する?

日常生活への支障は、直接的には労働能力喪失率とは関係がありません。日常生活への支障については、慰謝料の問題として解決され、逸失利益を計算するための労働能力喪失率には影響を及ぼさないためです。

もっとも、日常生活の支障が生じる場合には、仕事上でも支障が生じていることが多いです。そのため、日常生活への支障が大きい場合には、労働能力喪失率も高くなる傾向があります。

高次脳機能障害で労働能力喪失が否定されるケース

高次脳機能障害で労働能力の喪失が否定されるケースとは、裁判所で高次脳機能障害の認定がされなかったケースです。

高次脳機能障害は、その診断方法も明確とはいえないため、裁判において認定してもらえないことも多いです。高次脳機能障害の認定がなされなければ、高次脳機能障害を原因とする労働能力の喪失も認められません。

一方、高次脳機能障害と認定されたにも関わらず、労働能力の喪失が否定されることは、それほど多くはないでしょう。ほとんど全ての労働は、記憶力や注意力などの高次脳機能を用いるものだからです。

(まとめ)

労働能力喪失率の決まり方 後遺障害等級により相場があり、その相場によることが多い
高次脳機能障害により労働が制限される理由 症状の内容や程度が様々であるため、労働の制限の理由も様々
日常生活への支障は労働能力喪失率に影響する? 直接的には影響しないが、日常生活に支障が出るような症状なら、労働能力喪失率も高い傾向
高次脳機能障害で労働能力喪失が否定されるケース 裁判所に高次脳機能障害の認定をしてもらえないケース

高次脳機能障害の労働能力喪失率に関する弁護士相談のメリット

高次脳機能障害の労働能力喪失率について、弁護士に相談した方がいいですか?

相談したほうがいいでしょう。弁護士であれば、労働能力喪失率の程度について、適切な見通しを立てることができます。

やはり専門家に相談したほうが安心ですしね。

適正な労働能力喪失率を認めてもらうポイント

適正な労働能力喪失率を認めてもらうポイントは、2点あります。

まず1点目は、適切な後遺障害等級認定を受けることです。

労働能力喪失率は、後遺障害等級により一定の相場があります。そのため、高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けることができれば、とりあえずはその相場の労働能力喪失が認められることが多いのです。

2点目は、裁判で適切な主張をすることです。

後遺障害等級が認められた場合でも、認められなかった場合でも、裁判で適切な主張をすることで、より高い労働能力の喪失が認定されることがあります。

主張をする際には、後遺障害により、いかに仕事に支障が出ているかを、具体的に主張することが重要です。

弁護士相談のメリット

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高次脳機能障害の労働能力喪失率を弁護士に相談する最大のメリットは、労働能力喪失について適切な見通しをたてることができる点です。

高次脳機能障害は、その症状の内容や程度が様々で、労働能力喪失率の判断は極めて困難です。

しかし、労働能力喪失率についての見通しがなければ、賠償金獲得のための必要十分な活動をすることができません。

高次脳機能障害に強い弁護士であれば、具体的な症状から、裁判で認められるであろう喪失率の見通しについて判断し、その認定を受けるための活動についてアドバイスをすることができます。

(まとめ)

適正な労働能力喪失率を認めてもらうポイント ・適正な後遺障害等級の認定を受ける
・裁判において必要十分な主張を具体的に行う
弁護士相談のメリット 認定を目指すべき労働能力喪失率につき適切な見通しを立てたうえで、認定に向けてするべき活動を知ることができる。
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